森の中の古井戸
森の中の古井戸
今日も、森の中で、ニンゲンとエンカウントしてしまいました。
本日も、全力で逃亡中のゴブリンです。
運がいいことに、こちらが先に気づくことができましたので、先手を打って逃げました。
気付かれたけど。
「まてや、コラ。雑魚は雑魚らしく死ねや」とか「経験値しょぼけど、逃がさん」とか、ひどい言われようです。
幸いなことに、ここは森の中。身を隠す障害物は、たくさんあります。
ゴブリンがニンゲンより小柄なのも、いいですね。狭いところも楽です。
ニンゲンよりも、森の中をスムーズに進めます。
でも、今日のニンゲンは、しつこい。
まだ、追ってきます。どうして追ってこれるんでしょう。
犬でも使っている雰囲気はないんですけれどね。
いよいよ危なくなってきたかもしれません。
もう少しで、姿を捕捉されそうです。
やばいやばいやばいやばいやばい
うん、やばい以外思いつかん。詰んだな。と思った時です。
足元に空いた穴から落ちました。下に。
なんで? ゲェッ!
と思った時には。ドボーンと水面に叩きつけられました。
冷てぇ!!! すごく水温低いです。飲むなら気持ち良いんだろうけど。
どうやら古井戸に落ちたみたいです。
ああ、俺はここで終わるんだな。上から矢でも魔法でも撃たれたらそれまでだ。
と、思ったんですが・・・・。
この井戸は、地下水脈の上に作ったみたいです。井戸の底は地下を流れる川でした。
川の流れも速い。よし、このまま、流れに身をまかせて脱出しよう。
それほど、時を置かずに、後ろで、雷鳴のような轟音と共に、まばゆい光が一瞬きらめきました。
ちょっとだけビリッとしました。
あのまま、あのあたりに居たら終わってたでしょう。
てか、撃つなよ。
ま、これで追跡はあきらめたのでしょう。そんな確信がありました。
まずは、切り抜けた幸運に感謝しよう。逃亡は続く。