大きな木だ、まるで塔だな
おはようござます。ゴブリンです。
今、森の中にいます。
人の手の入らないような奥の方。原生林というのでしょうか。
いわゆる奥地へ、探索しています。
冒険者みたいと言わないでください。
その冒険者という者たちに、住処を襲われて逃げだしたのですから。
第二の故郷となる安住の地を探すのですよ。
はい、ただいま木の上です。
狼どもに追われて、ツタをつかって木の上に逃げました。
狼さんよ。君たちの晩飯になるつもりはないよ。
はい、ただいま、とても大きな木の前にいます。
直径は20~30フィートくらいあるのでしょうか。
幹の太さの割に、木の高さはそうでもないようです。
高さは40~50フィートでしょうか。
全体にずんぐりとした印象です。
広葉樹というのでしょうか。
「馬鹿樫の木」
「化かしの木」
そんな言い方が、頭に浮かびます。
それよりも、この木、ちょうど地面のところに穴が開いています。
中を覗き込んだら、大きなスペースが。
うわー、これ、本当に木の中に部屋だわ。
入口に扉を付けたら木の家になりそうです。
入口以外にも、窓のような穴が数か所空いてます。
てか、ボロボロだけど、窓枠の跡だな。これ。
かまどのようなものもある。
誰か、過去に住んでたみたいです。
誰が? 分からないけれど。
定番なのは、エルフとか、ドルイドとか?
もしくは、俺みたいな変わり者でしょうか。
まほーつかいだけは、勘弁です。
床の埃や、使ってない雰囲気から、この家? の住人は、もうかなり前から、ここには戻っていないようです。
だれも、持ち主がいないなら、ここにしばらく住んでみるのもいいかもしれないな。
まずは、入口か。
狼が入ってこれないようにしないとな。
今のままだと、フリーパスだわ。
なんだろう、眠い。
この家らしきものの探索は、一眠りしてからだな。
ああ、でも、入口にバリケードでも築かないと狼が・・・・
ああ、でも、変だ。まだ日は高いのに、なぜ眠くなるんだろう・・・
ああ、でも、考える気力が、もうない。
猛烈な眠気に、逆らえず、俺は意識を失い、寝落ちした。