TRPG 短話集

TRPGでのシチュエーション(主にダンジョン)を色々書いてます。

12体のゴーレム

12体のゴーレム

 

このゴーレムは、一見、壁一面にある、レリーフにみえる。

12体いるので、12星座っぽかったりする。

1体、1体が壁に埋め込まれていて、それぞれが魔法を撃つ。

ただし、AIなんてものはないので、あらかじめ決められたところへ、祭壇に用意されたスイッチを押すことで、一斉に12体のゴーレムが魔法を放つ。2ターン連続で。

 

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祭壇に、敵のボスがいる。

「よく来たな、冒険者どもよ。だが、私はこんなところで死ぬわけにはいかない。」

ボスの魔法使いは、祭壇のどくろマークのスイッチを、「ポチッとな」と、押した。

 12体のゴーレムが一斉に魔法を撃つ。

1体目は、冒険者へ「サイレンス」を

2体目は、冒険者へ「スリープ」を、

3体目は、冒険者へ「蜘蛛の糸(ウェブ)」を、

4体目は、冒険者へ「ホールドパーソン」を、

5体目は、冒険者へ「スロー(へ―ストの逆呪文)」を、

6体目は、冒険者へ「ディスペルマジック」を、

7体目は、冒険者へ「コンティニュアルダークネス(コンティニュアルライトの逆呪文)」を、

8体目は、冒険者へ「コンフュージョン」を、

9体目は、スイッチを押したボスへ「ミラーイメージ」を、ボスを分身させる。

10体目は、スイッチを押した祭壇の下に「パスウォール」を、床下に脱出するための穴を、垂直に開ける。(冒険者に見えない位置に)

残る2体(11体目と12体目)は、左右の壁沿いにあり、正面に「ライトニング」を撃ち、壁沿いに接近してくるかもしれない、敵の冒険者からの不意打ちをけん制する。

 

一斉の魔法により、冒険者はST判定を強いられる。

無理やり作られた混乱の中、多分、冒険者のパーティうち、何名かは戦闘不能になるだろう。

そして、ボスの魔法使いは、どのような結果になろうと(たとえ、冒険者パーティが全員戦闘不能となっても)、迷いなく次のターンには、10体目のゴーレムが開けた穴を使って逃げる。

 

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GM用の説明)

ゴーレムが垂直に開けた穴から続く脱出通路には、先に、「非常口」と書かれた扉があり、魔法使いは、鍵をかけて、脱出のための時間をかせいだりするだろう。

「非常口」 には、脱出用の「魔法の箒(スピードレーサー)」「インビジブルマント」「ホールディングバッグ(金や財宝、テントや食料などの各種資材が入ってる)」が用意してあり、魔法使いは、冒険者に見つからないように、脱出を試みる。

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そして、厄介なことに、ゴーレムは2ターン連続で魔法を撃つのだ。

混乱は続く。

ボスは、逃げるけど。

 

そう、今回、敵の魔法使いは逃げた。この先の未来にあるだろう、本当の決着の時のために。

敵の魔法使いは、ゴーレムが魔法で開けた穴から脱出し、魔法の箒に乗って、冒険者の視線から隠れるように猛スピードで離れていく。

「あのまま、戦っても、勝てぬからな。」

魔法使いは、一人つぶやいて、再起と復讐を誓った。まだ、ホールディングバックには、しばらくは遊んで暮らせるくらいの金と財宝と、飢えをしのげるだけの物資があるのだ。

「ほとぼりが冷めるまで、しばらくバカンスだ。」

あらためて、インビジブルマントを被ると、魔法の箒ごと視界から消えたように見える。

注意深く、戦闘を回避しながら、逃避行を始めた。

 

 

 

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このゴーレムが放つ魔法は、使い切りで、2連続撃つと、もう打ち止め。

魔法をチャージしないと、ただの、像と変わらない。チャージできれば使えるのだけど。

2体を除いて。

実は、「ライトニング」の魔法は、マジックワンドを使っている。

逃げた後、像を調べたなら、冒険者に2本のマジックワンドが手に入るだろう。(残りのチャージ数は、GM次第) 

 

レリーフに隠し扉があり、その奥に宝箱がある。魔法使いの隠し財産だ。

魔法使いが逃げてモヤモヤするが、それも、またキャンペーンの醍醐味ということで。