エレベーター
この部屋は、かなり天井が高い。
だいたい、2フロア分くらいはあるだろう。
見上げると、ちょうど、2階部分に扉が見える。
途中に階段も、はしごもない。
壁の途中に、扉だけが、まるで、窓のようについている。
扉の下の壁に、つかめるような手がかり、足掛かりが、ないこともない。
オリンピックの選手のように、壁のわずかな出っ張りをつかんで、登ることもできなくはなさそうだが、相当に高い敏捷性が必要になりそうだ。
違和感のある扉以外に、この部屋の右手側の奥に、なにやら、腰の高さくらいの石柱がある。
調べると、古代ドワーフ語で「上」「下」と、書かれた2つのボタンらしきものがある。
なお、「上」と押すと、このフロアの床全体が、徐々に、本当にゆっくりと上へと動き出し、5分ほどかけて、2階部分の壁についていた扉の高さで止まった。
あの扉は、まるで、初めから、この部屋の奥にあったかのように、自然な位置にある。
この扉を潜り抜けると、次のフロアーだ。
なお、「下」と押すと、このフロアの床全体が、沈みこみ、元の高さへと戻る。
なんのことはない。水圧で、床全体を上げ下げしているだけだ。
ドワーフの謎技術で。
このダンジョンは、水が豊富なのだ。そして、長い年月が経った今でも、謎技術は稼働しているのだ。