俺、ゴブリン、命が惜しい。
俺、ゴブリン。
RPGでよくいる、やられ役です。
いつも、冒険者に襲われて、やられてます。
冒険者どもの刃に倒れて、薄れていく意識の中。
「経験値、しょぼい~」「やっぱ、あまり金もってないな」
なんて、残念そうにつぶやかれていたりします。
なんで、知ってるかって?
冒険者にやられて死んだと思ってたんだけど。
しばらくたって気づくと、またダンジョンの中に五体満足な体で意識が戻るからさ。
とられた装備は戻らないけどね。
周りの連中に話しても、頭おかしいって思われるから、話したことないけれどさ。
周りに、生き返ったっぽい奴もいないし。
で、今の状況だけど、冒険者が、また来たみたいだ。
扉の向こうで、人間どもの気配がする。
プレートメールが、ガチャガチャうるさいし、扉の隙間から、光がもれてるんだよね。
どうやら、こちらの様子をうかがっているみたいだ。
周りの仲間は迎撃する気みたいだけれど、俺は逃げるよ。
奇襲用の横穴がうまい具合に空いてる。ここは、別の隠し部屋に続いているんだ。
また、穴自体が小さいから、人間どもは入ってこれないんだ。
タイミングは、奴らが入ってきた時、仲間意識が扉に向かった時だ。
扉が、蹴破られた。すごい音。
よし、今だ。
おれは、横穴に飛び込んだ。
直後に、背後で、魔法的な火の爆発が起きた。
おれは、横穴の奥に吹っ飛ばされたけれど。生きてるみたいだ。
さて、逃げるか。